トピックス

2016年9月

園長の「給田だより」(2016年9月号)

2016/09/01 8:02:27

「五輪に学ぶ“子育ての秘訣”」   ~一人ひとりがゴールドメダリスト!~

保育者にとっての夏休みは、園外研修のハイシーズンでもあります。私も、夏休みに入った早々に、東京家庭教育研究所主催の「家庭教育公開講座」を受講いたしました。講師の締めのメッセージは、「4Aを大切に」というものでした。四つのAとは、Accept(受け入れる)・Adapt(合わせる)・Admire(褒める)・Appreciate(感謝する)の頭文字です。日頃、子育てにおけるキーワードとして意識していたものだけに、直ぐにガッテンいたしました。まず、子どもの存在や意見を受け入れ、子どもの目線に合わせ、子どもを褒め、子どもに感謝することは、言うは易く行うは難いことかもしれません。しかし、何と言っても“子育ての王道”であるに違いはありません。  

ところで、今年の夏休みのトピックスは、やはりリオデジャネイロオリンピックでしたね。4年前のロンドンオリンピックのインパクトが大きかっただけに、今大会へも期待を寄せていました。ところが、実際には私の予想をはるかに超える 中身の濃さで、連日のテレビ観戦による寝不足が続く状態でした。日本選手の活躍は、私が言うまでもなく、とても素晴らしいものでした。加えて、その背景を彩るヒーロー・ヒロインの誕生物語は、心動かされるものばかりでした。選手自身の血のにじむような努力、師弟間の信頼関係、そして選手と家族との関わりなど、どれもこれもが感動の涙です。そんな中、目に留まったのが「五輪選手の育て方」(8月18日、読売新聞朝刊)という記事です。(「育て方」という文字に敏感に反応してしまうのは、職業病かもしれませんね。)そのリード文は、次のように綴られています。

日本選手のメダルラッシュが続くリオデジャネイロ五輪。努力を重ね、世界で活躍する選手たちは子供時代、どんな育てられ方をしたのか―。読売新聞が106人のオリンピアンの親たちに、子育てで心がけたことなどを聞き取り調査した結果、目立った意見は「自主性を尊重し、褒めてやる気を起こさせる」だった。

その記事は、三つの小見出しによる記事と、各選手の親のコメントから構成されています。

一つ目の小見出しは、「心がけたこと」で、家庭教育で心がけたことについては、「やりたいことをやらせる」「嫌々させず、自主性に任せる」など、子供の気持ちを尊重するという意見が36人で目立った、としています。競泳の江原騎士(ないと)選手の母・洋美さんは、「あいさつの徹底。幼稚園の頃、コーチに教わったことを家で反復練習させた」とのこと。園児たちに「あいさつ」を呼びかけている私としては、まさに我が意を得たり、という思いになったことは言うまでもありません。面白く思ったのが、「背を伸ばすため」という記述です。バドミントンの奥原希望(のぞみ)選手の父・圭永さんは「背を伸ばすため、午後10時には就寝させた」と述べ、競泳の小関也朱篤選手の父・勝さん、母・琴さんは「背が伸びるように牛乳を欠かさず飲ませ、帰省時には好物の卵焼きなどをたくさん食べさせた」とありました。

二番目は、「避けたこと」で、あえてしなかったことでは、「強制しない」「親の考えを押しつけない」などの意見が36人と最多で、子供の気持ちを尊重する傾向がこの質問でも見て取れた、としています。卓球の丹羽孝希選手の母・美加さんは、「夫婦で叱ってプレッシャーをかけたり、しつこく追いつめたりせず、逃げ道を残すように心がけた」とあり、体操の白井健三選手の父・勝晃さんは、「勝てなかった大会の賞状はリビングに貼らず、過大な期待をかけなかった」とのことです。

三番目が、「やる気アップ法」で、やる気を起こさせる方法については、「褒める」15人、「応援する」7人、「目標を作る」5人などさまざまだった、としています。マラソンの福士加代子選手の父・正幸さんは、「本人の意見を尊重し、自分で決めたことに対して細かいことを言わなかった」、アーチェリーの古川高晴選手の父・勝也さんは 「本人が興味を持ってやりたくなるように、“こうしたら楽しいよ”など、前向きな言葉をかけた」そうです。

子どもの能力開発においては、「素質7割・環境3割」と言われます。親のDNAが影響することはさることながら、後天的要素、すなわち「保護者や保育者のかかわり方」という人的環境が物を言うことを忘れてはなりません。その根本が、冒頭に述べたAccept(受け入れる)なのです。

さて、幼稚園では、年に一度の“給田オリンピック”の準備がスタートします。一人ひとりがゴールドメダリスト!プロセスこそを大切に、子どもたちの成長を見守ってまいります。保護者の皆さまからのエールが支えです。

松森憲二拝

« 2016年8月 | メイン | 2016年10月 »