トピックス

2012年7月

園長の「給田だより」(平成24年7・8月号)

2012/07/01 9:00:00

「父の日」、そして「お盆まつり」に思う  ~ 家族の絆 ~

 6月17日の父の日、『読売新聞』朝刊の「編集手帳」に、「こどもの日母の日仲良く近いのに父の日ばかり1ケ月も先」という歌が紹介されていました。初めにその歌を読んだとき、私は、母子からやや離れている父親の存在の悲哀を面白おかしく歌っている、と受け止めてしまいましたが、筆者の意図はそうではなく、「きょうこの日の位置に、母子からあえて距離を置きつつ、しかめっ面で見守っているような昔気質の家長を思う」とのコメントを添えていました。多少、時代を遡らなければならないかもしれませんが、威厳のある父親の存在に、改めて思いを馳せました。

 ところで、幼稚園では、学年ごとに趣向を凝らし、「お父さんを喜ばせたい、びっくりさせたい」との思いで、「父の日のプレゼント」の製作に取り組みました。以下にご紹介するのは、それにまつわるいくつかのエピソードです。

 年少組のM君は、父の日を前に、風邪をひいてしまい、金、土曜日にお休みをしました。せっかく作ってあったプレゼントを父の日に間に合うようにしたほうがよいか、を担任がお尋ねすると、お父様がそのプレゼントを幼稚園に取りに来られたそうです。18日の朝、お母さまから届いたお手紙には、次のように書かれてありました。

 「先日は、父の日のプレゼントの件で、お気遣いいただき、ありがとうございました。お陰様で、主人は大感激!!滅多に感情を表さない主人が、キャッキャと喜んでいました。どうもありがとうございました。」いつも穏やかな表情で園までお送りくださるM君のお父様、さぞかし喜ばれたことだろうと、M君、そしてお父様お母様のお顔を思い浮かべました。

 年長組のあるクラスでは、父の日のプレゼントを見て、「お母さんも欲しい」と言われた子が数人いたそうです。「何かしてあげたの?」という担任の質問に、異口同音に「かたたたき!かたもみ!」と答えたそうです。「父の日」が、今年2回目の「母の日」(?)にもなった微笑ましい出来事だと思いました。

 他にも、「昨日、お寿司屋さんに、プレゼントしたお箸入れを持って行ってくれて、使ってくれた」(R君)、「今日、朝、ペンを入れて、仕事に持って行ってくれた」(S君)、「“作ってくれて嬉しいよ”と言ってくれた」(Mちゃん)、「鉛筆入れて使ってたよ」(Rちゃん)など、子どもたちからもらった喜びのレポートです。

 「お父さん(お母さん)に喜んでもらいたい」という思いは、将来の「誰かのためになる」「誰かの役に立つ」「誰かに尽くす」「何かに貢献する」という心に通じる、人生の初期段階での大切な種まきだと思います。幼稚園での取り組みが、そんな機縁になってくれるとすれば、こんな嬉しいことはありません。いやむしろ、そうでなくてはならないと、強く願っています。

 さて、7月7日は、幼稚園恒例の「お盆まつり」です。園児たちは、本番に向けて、お父さん、お母さん、お祖父さん、お祖母さん、家族の皆さんに見ていただき、そして「少しでも喜んでもらいたい」との思いで、連日踊りの練習に一生懸命です。当日は、きっと多くの目に見えないご先祖さま方も広い園庭にお集まりくださり、有縁の子供たちの姿に目を細めながら、大きな拍子をくださるに違いないと信じています。

 幼稚園での様々な行事は、決して一朝一夕にできあがるものではありません。本人の努力と仲間との協力によって、園児たちは一歩一歩、着実に成長してくれています。願わくは、そのことが、家族の絆をさらに深めることにつながってほしい、と念じてやみません。

松森憲二 拝

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