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園長の「給田だより」(2012年9月号)

2012/09/01 9:00:00

 私の佼成学園幼稚園初の夏休みは、“ロンドンオリンピック三昧”でした。多くのアスリートたちの口から発せられる「努力」、「最後まであきらめない」、「仲間との絆」、「支えてくれた周囲への感謝」などの珠玉の言葉は、私の心をわしづかみにしたのです。

 ところで、タイトルの「朝期発見」は、ヤンキー先生として有名な義家弘介氏(現参議院議員)が、大津でのいじめ事件に関して出演したテレビ番組で、締めの言葉のキーワードとして用いたものでした。義家氏の発言は、概ね次のような趣旨でした。

「朝」という字を分解すると、十月十日になる。それは、もちろん母親が胎内で尊い命を育む期間のこと。大切に命を育んできただからこそ、朝の一瞬の子供の様子で、心の様子、心の変化が読み取れるはず。起きてくる様子、食事をしている姿から、親ならば何かピンと来るはずだ。そのことを大切にしてほしい。

 義家氏は、子どものこと、とりわけ子どもの思いをキャッチするには、朝一番の触れ合いが大切、ということを言いたかったのだと、私は理解しました。

 皆さまのご家庭ではいかがでしょうか?なにせ慌しい朝のこと、いちいち構っていられないという方も(わずかでしょうが)おられるかもしれません。でも、子どもたちは無意識に、口で語ることなく(つまり、ボディランゲージで)、心のSOSを発信しているかもしれないのです。それをキャッチできるのは、最も身近にいる親御さん、とりわけお母さんではないでしょうか。

 現実にその場で、子どもの思いを聞き出したり話し合ったり、ということはできないかもしれません。でも、親だからこそできることは必ずあるはずです。「何かを抱えているに違いない」との思いで、子どもを「ギュッと抱きしめる」ことなら、5秒もあれば十分です。子どもは感性の塊なのですから、不安で一杯の心に、「大丈夫。いつでも〇○ちゃんの味方だよ」という思いは、ストレートに伝わっていくはずです。(このようにして培われた安心感こそ、子どもの自己肯定感の基盤である、と多くの識者は語っています。)

 私の場合、二人の息子が幼年期の時に、どれだけのことができていたかを顧みてみると、慙愧の念に堪えません。彼らが中学生になった頃になってやっと、子どもの心に寄り添っていくことの重要性を、多少なりとも感じ取れた、という有様ですから、偉そうなことを言えないのです。しかし、こんな私だからこそ、声を大にしてお伝えしたいのです。「今、この時期の触れ合いを大切に!」と。

 どうか毎朝の何気ない触れ合いを、くれぐれも大切になさってください。そして、ピンと感じられたことを、何らかの方法で担任にお伝えください。たとえ即解決とはいかなくても、保育に携わる私たちにとっても大切な宝物(園児たち)の、一瞬一瞬の心の動きにそっと寄り添うことは、私たちの使命であり、喜びでもあるのですから…。

松森憲二 拝

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