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園長の「給田だより」(2016年4月号)

2016/04/13 8:19:50

「さようならお友だち、こんにちはお友だち!」  「理想の光」を追い求めて!~

 4月2日、桜満開の上野公園を訪れ、東京都美術館で開催されている「日仏現代国際美術展」を鑑賞してきました。美術にはほとんど無縁の私ですが、家内宛に作品を出展しているSさん (長男の中・高時代のママ友)からご案内があり、二人でしばしの絵画鑑賞を楽しむことができました。大小さまざまな作品の前に立つと、それぞれの作者からのメッセージが心にしみじみと伝わってきたり、あるいは強烈なアピールが胸に迫ってきたりで、「オンリーワン」の世界観(金子みすゞの詩になぞらえれば、「みんなちがってみんないい」)を体感いたしました。春をイメージしたと いうSさんの作品の題は、「楽園の扉」。聞けば、ご主人さまのネーミングとか。園長としての私のテーマは、就任以来一貫して「しい幼稚」(=楽園)。その「扉」なのですから、まさに新学期に相応しい絵であり、幸先の良い新年度を迎えることができそうな、嬉しい予感に包まれました。これこそ今流行(はやり)の「びっくりぽんや」です。

 時計の針を、少し逆回りにして…。去る3月の上旬、朝の玄関で、卒園を目前にした年長女児Nちゃんから、次のようなお手紙をもらいました。

えんちょうせんせいへ

いつもあいさつしてくれてありがとう

いつもあそんでくれてありがとう

いつもわらってくれてありがとう

しょうがっこうでもがんばります

さようなら

中の三行の「ありがとう」のリフレインは、まるで詩人のタッチであり、彼女の才能の片鱗を窺わせてくれます。子どもたちとの別れを前にして、自ずと寂しさを感じるその時期に、嬉しさがこみあげてくるひとときをプレゼントしてくれました。

3月18日の3学期最終日は、例年どおり「新入園児体験入園」の日。年少組の各保育室に初めて足を踏み入れた子どもたち、保育室で過ごす短い時間の中で、早々とさまざまな個性を示してくれました。特に、号泣しながらの「ママがいい~」の合唱(?)は、毎年の風物詩とは言え、タイトルマッチの開始を告げるゴングのような響きです。

150人の卒園児を送り、150人の新入園児を迎える今春、私の脳裏にはある歌詞の一節がその  メロディーとともに巡っています。それは、「集まり散じて 人は変われど 仰ぐは同じき 理想の光」という母校の校歌です。春の足音を聞き始めると、つい口ずさみたくなってしまいます。教育機関においては、毎年のように出ていく人があれば、入ってくる人があります。子どもたちであれ、教師であれ、人の入れ替わりは世の常ながら、志高く「理想の光」だけは決して見失ってはならない、ということを示唆してくれています。「理想の光」とは「建学の精神」であり、その理念を具現化していくプロセスもまた「理想の光」に他なりません。私たちの佼成学園幼稚園は、その「理想の光」があるからこそ、社会から生命(いのち)を与えられ、存在を認知されているのですから、しっかりとその使命を全うしなければなりません。  

佼成学園幼稚園は、創立者庭野日敬(にっきょう)先生が、ご自身の幼い頃の体験から幼児期の重要性を強く認識され、「幼少期の子どもたちの豊かな情操を 培い、健全な心身と共に平和を愛する精神を育む」という願いの基に、昭和30年1月11日に設立されました。佼成学園の「建学の精神」は「行学二道」であり、それは「仏教精神」を基盤としています。「仏教精神」については、いくつもの角度から言及することができますが、一つのアプローチが「お釈迦さまのご生涯から学ぶこと」です。私たちは、折々の行事をとおして、「仏教精神」に触れることができます。

皆さまもご存じのとおり、4月8日は降誕会(ごうたんえ)というお釈迦さまの誕生日です。佼成学園幼稚園では、例年この日を「花まつり・入園式」として、新年度のスタートに位置づけています。お釈迦 さまの誕生にまつわる「天上(てんじょう)天下(てんげ)唯我独尊(ゆいがどくそん)」の言葉を、耳にされた方も多いことでしょう。これは、「生きとし生ける者は、すべて尊い存在である」ということを意味している、と教えていただいています。端的に言えば、「ダメな人は一人もいない」ということです。「ダメな子、ダメな保護者、ダメな保育者は一人もいない」という人間観(保育観)が園内に浸透徹底し、その確固たる理念が園外にも伝わっていってこそ、佼成学園幼稚園の輝きは、より増していくのです。今年度も、雑事に心を  奪われることなく、「園児たちの健全な育成」という普遍(・・)かつ不変(・・)の「理想の光」を一筋に追求してまいります。力強いお力添えを!

松森憲二拝

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